秋といえば、サンマやサツマイモ、栗、柿、きのこなど「秋の味覚」が豊富に並ぶ季節です。実りの秋を存分に味わうには、「しっかり噛める歯と健康なお口」が欠かせません。しかし、高齢になると歯や歯ぐきの状態、かむ力、飲み込む力などが少しずつ低下し、「食べたいものが食べられない」というお悩みを抱える方も少なくありません。

今回は秋の味覚を健康に楽しむために大切なお口の健康管理について、そしてご家庭と歯科医院でできる予防の取り組みをお伝えします。当院には管理栄養士が在籍しており、歯科と栄養の両面から皆さまの健康をサポートしていますので、ぜひご家族での参考にしてください。
高齢者に多い「口腔機能低下」とは?
高齢になると、むし歯や歯周病によって歯を失うだけでなく、「噛む力」「飲み込む力」「舌や唇を動かす力」が少しずつ衰えてきます。これを「口腔機能低下症」と呼びます。
例えば、
- 秋のサンマを骨ごときれいに食べられない
- 焼き栗や干し柿が硬くて食べにくい
- きのこや野菜の繊維が飲み込みづらい
といった体験をされた方はいらっしゃいませんか?
これらは単なる「年齢のせい」ではなく、口腔機能の低下によるサインかもしれません。そのまま放置してしまうと、食欲が落ち、低栄養や体力低下につながり、さらには誤嚥性肺炎や全身の病気のリスクにもつながります。
家庭でできる予防の工夫
ご家族と一緒に取り組める予防方法をいくつかご紹介します。
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よく噛む習慣を意識する
やわらかい食事が続くと噛む力が弱くなります。秋の味覚を楽しむ際には、根菜類を煮物にする、きのこを汁物に入れるなど、自然に「噛む」機会を増やしましょう。
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口腔体操を取り入れる
食前に「あ・い・う・え・お」と大きく口を開けて発声する体操は、唇や舌の動きを鍛え、食べこぼしや飲み込みの不安を減らす効果があります。
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水分をしっかりとる
口の乾燥は噛みづらさや飲み込みづらさの原因になります。秋は空気が乾燥し始める季節ですので、こまめに水分を補給しましょう。
歯科医院でできる予防とサポート
ご家庭での工夫とあわせて、歯科医院での定期的なケアもとても大切です。
- むし歯・歯周病の早期発見
- 義歯(入れ歯)の調整や修理
- 噛み合わせの確認
- 舌や口の動きのチェック
さらに、当院では管理栄養士による栄養指導を行っており、お一人おひとりに合わせた食事の工夫をアドバイスしています。
全身の健康とお口の健康のつながり
「噛めない」「食べられない」ことは単なる口の問題ではありません。十分に栄養が取れなくなることで、筋力の低下や免疫力の低下、さらには認知症や生活習慣病にも影響すると言われています。
秋の味覚はビタミン・ミネラル・食物繊維など栄養が豊富です。それらをしっかり噛んで食べることが、体力維持や病気予防につながります。つまり、お口の健康を守ることは、全身の健康を守る第一歩でもあるのです。
ご家族で一緒に取り組みましょう
高齢者の口腔機能の低下は、ご本人だけの問題ではなく、ご家族全体で支えることが大切です。食卓で同じ料理を楽しみながら「噛む習慣」を意識する、声を出す体操を一緒に行う、定期的に歯科検診に通うなど、家族ぐるみでの取り組みが効果的です。
当院では、ご家族そろって通いやすい環境を整えており、管理栄養士と連携して「噛める・食べられる喜び」をサポートしています。
まとめ
秋はおいしい食材がたくさん実る季節です。せっかくの味覚を十分に楽しむためにも、お口の健康を守ることは欠かせません。
- 高齢者に多い「口腔機能低下症」に注意する
- 家庭でできる予防(よく噛む、口腔体操、水分補給)を実践する
- 歯科医院での定期的なチェックや栄養指導を活用する
- ご家族で一緒に取り組む
これらを意識することで、秋の味覚を安心して楽しめるだけでなく、全身の健康にもつながります。
「最近噛みにくい」「飲み込みづらい」と感じる方や、ご家族の食事に心配がある方は、ぜひ一度当院にご相談ください。私たちは歯科医師と歯科衛生士、そして管理栄養士が連携し、皆さまが健やかに秋の味覚を楽しめるよう全力でサポートいたします。




